リカレント教育とは
リカレント教育とは簡単に言うと「学びなおし」です。
もともと、スウェーデンの経済学者ゴスタ・レーンが初めに提唱したもので、後に世界的にも知られるようになりました。社会人になってからも、個人が必要とすれば教育機関に戻って学ぶことができる教育システムのことを指します。
海外ではリカレント教育は日常的にあることで、文部科学省の調査によると大学入学者のうち25歳以上の割合は、OECD各国平均で約2割に達しているそうです。
今まで日本では大学に入り直すといった例はあまりないケースでしたが、最近日本でも注目されるようになりました。
自分の将来のために
リカレント教育が、最初に関心を持ち始めたのは35歳以上のミドル世代です。学生を卒業してからかなり間が空いているので、知識や記憶がどんどん薄れてしまっているのです。
以前はそれでも問題はありませんでしたが、今は「人生100年時代」と呼ばれる超長寿化社会。60歳以上でも働くことが当たり前になってきています。そのため、ずっと活躍できる存在になるためには「学び」は必要だと考える人が増えてきました。
また、ミドルより下の年齢でも、リカレント教育は近年関心が高くなってきています。
その背景にあるのは”働き方”の多様化。キャリアアップのために転職をしたい、ライフスタイルによって働き方を選びたい、このような考えを持つ人が増えてきているのです。
学び直し=働かない?
リカレント教育を日本でするには、もちろん課題もあります。例えば大学院に入るのなら、今までの仕事を中断しなければなりません。
フランスやスウェーデンなどでは、有給教育訓練休暇というものがあり、教育訓練を受ける目的として、一定期間職場を離れる権利を認める休暇制度がありますが、日本ではそのような制度を実施している企業は数%にすぎません。仕事にブランクができてしまい、復帰・就職が非常に難しくなってしまうのです。仕事をしていないとはいえ、遊んでいたわけでもないのに、世間の反応は酷なもの。
その分関心はあっても、リスクの高さうゆえ、行動に起こすことができない人も多いでしょう。通常のリカレント教育のやり方では、日本には合っていないのかも知れません。
今後は働きながら学べる環境が必要
日本でのリカレント教育は、働きながら学び直しができることにニーズがあります。
例えば放送大学では、テレビやラジオ、インターネットで講義を受講することが可能なので、通学が難しい社会人でも、安心して授業を受けることができます。他にも、明治大学では、土日や平日夜間に授業が行われていたりと、社会人に合わせられているかつ、学べる種類もたくさん用意されています。あまり知られていないことですが、実は色々とあるのです。
しかし、授業料は決して安くはありません。今後は学びやすい環境が整備されていくのか注目したいところです。現状は自分の将来のことをよく考えたうえで、慎重に選択しましょう。大切なのは、「学んだ後、どう活かすのか?」です。