【連載】ココシャネルに学ぶ「時代をつくる女の生き方」♯9



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♯ アーサー・カペルという男との存在

シャネルを語る上で最も重要な人物といえば、アーサー・カペルという男性。彼はシャネルが生涯を通して愛した男であり、彼と共に生きることでシャネルは世界的有名なファッションブランド“ココ・シャネル”というブランドを作り上げることができたといっても過言ではありません。

シャネルとアーサーの出会いのきっかけは皮肉にも当時の愛人、エティエンヌの紹介によるものでした。愛人の一人として不自由のない暮らしをしていたシャネルだが、自分の足で立って生きていきたいという心の奥にある不満をずっと抱えていたまま。エティエンヌのことは好きは好きでも、シャネルはどこかで心の中では彼は「私の本当の想いを理解してもらえない」と思っていたのでしょう。

そんな折に出会った、アーサーはルックスや身のこなしはスマートでエレガンスながらも、エスプリの効いた話し方、エキセントリックな考え方、それでいて情熱家というあらゆる点で魅力に溢れていたため、シャネルが恋に落ちるのにもそう時間はかからなかったようです。

♯ エティエンヌとの別れ

アーサーとの本格的な恋愛が始まるとシャネルはエティエンヌに別れを告げ、アーサーのアパートへ移り住むことになります。そうはいっても、アーサーとエティエンヌは友人同士。たとえ愛人とはいえ恋人を奪われたことに対し、エティエンヌも怒り、悲しみに打ちひしがれていたよう。しかしシャネルのアーサーに対する思いがどれほど深く一途なものかをわかると、しばらくして友好的な態度を示すようになり、二人の友人として二人のこれからを祝福をしていたようです。個人的にエティエンヌの漢気ある態度にも非常に好感がもてますよね……。シャネルの周りに素晴らしい男性が引き寄せられるのは、シャネル独特の抗えない魅力があるのでしょうか。

♯アーサー・カペルの愛の形とは

シャネルはアーサーについては、別れてもなお彼に対しての評価を変えることなく「生涯で最も愛した男」と伝えています。それほどまでにシャネルの心にアーサーが強く残ったのは、シャネルにとってたった一人自分の心を深く理解してくれる相手だったからなのです。

エティエンヌはシャネルに、自分という存在を媒介しての安寧な暮らしを与えようとしました。しかし、シャネルは夫や恋人、愛人を頼りにしないと生きていけない世の中そのものに不自由さを感じていたので、エティエンヌの愛を受け入れられなかったのです。対してアーサーは、シャネルに自分の価値観を押し付けるようなことは一切しませんでした。

それどころか、シャネルがどうすればビジネスで成功するのか、自分はシャネルにとってどんな支援ができるのか、シャネルが望む生き方を支持し、ときには厳しい一言で彼女の中に眠るビジネスの才を開花させることもありました。精神面だけでなく物質的な面においてもシャネルを支えたアーサーの献身的な愛がなければ、シャネルはこれほど大きなブランドとして有名になることはなかったのかもしれません。アーサーの無償の愛こそが、シャネルを一人の時代を生きる女性として確立させていったのでしょう。

♯クリエイティビティを高め合うパートナー

アーサーの献身的な愛情を受けて、シャネルはいっそう自信に満ち溢れた美しい女性となって、新しい帽子店での成功をどんどん収めていくようになります。このことから私は二人の関係はただの恋人として語るには足らない関係と感じています。言うなれば、デザイナーとミューズのような関係に近いもの。シャネルにとってアーサーは実質的なパトロンではあったものの、それ以上に自身のクリエイティビティを高めてくれる存在。アーサーもまたその経営センスでシャネルを手助けすることでシャネルが輝く姿をみて、喜びを感じる。

激しく情熱を掻き立てられるような存在でお互いがお互いに、この世でこんな人は一人もいないと確信し合えたのでしょう。人生でそのように感じられる人と出会えること自体、とても幸せなことですよね。

♯アナタにとってのパートナーとは?

社会において何か大きなことを成し遂げようとするならば、私はやっぱり一人の力で成し得ることは難しいと感じています。不安定になりやすい気持ちを精神的に支えてくれるパートナーや、物理的な支援をしてくれるパートナーという存在も必要ですよね。しかしそれ以上にもっと大切なパートナーは、「自分の内側から何かを生み出そうという気持ちが湧いてくる」というアナタにも感じ得なかったクリエイティビティを惹き出してくれる相手ではないでしょうか。

シャネルがアーサーを思うように、アーサーがシャネルを思うように。アナタにとってもそのようなパートナーが現れますように。