新卒採用と中途採用で違う【面接】
おはようございます!
キャリアアドバイザーAです。
Cinqの読者の皆様の中には20代も多く、新卒採用時の就職活動の記憶も新しい方もいらっしゃると思います。そして、「新卒採用の時の面接の準備と、中途採用の面接の準備は何が違うのだろう……」と戸惑っている方も多いのではないかと思います。
そこで今回は、「新卒採用」と「中途採用」の違いについてをお伝えしようと思います。
新卒採用と中途採用には、かなり明確に違いがあります。それは、何だと思いますか?
キャリアアドバイザーの仕事をしていると、面接練習時に「私の一番の強みは、リーダーシップです。周りを巻き込む力があると自負しています。学生時代、生徒会長を務めていたときは……」と、40代の方が真顔で話し始める……という笑えない話もあります。
この機会にぜひ両者の違いを理解していただきたいと思います。
新卒採用と中途採用の違い
まず、新卒採用の面接は、人事部や管理部が「会社として、この人を採用すべきか」をチェックするための面接を行います。人事部や管理部は通常業務の中の1つのミッションとして「面接」スキルを磨く必要があり、外部研修等に参加したりしてトレーニングを積んでいる場合がほとんどです。
一方、中途採用の場合、採用するポジションに任される業務内容がはっきり決まっており、募集部門のトップが「自分の部下として活躍してくれるスキルを持っているか」をイメージしながら面接を行います。つまり、営業のポジションなら営業部長、システム開発部門ならシステム開発部門長が面接を行うわけです。
彼らは、営業やシステム開発のプロではありますが、面接のプロではありません。面接の専門的なトレーニングをされているケースは稀です。
そのため、中途採用の面接官の面接は、どうしても自己流になりがち。新卒採用の面接よりも、最初の印象=第一印象で、採否が大きく分かれる可能性が高いのです。
靴がすり減っている、華美なアクセサリーが目立つ、耳障りな口癖が多い等、ささいなことが積み重ねで、第一印象で「自分の部下にするには違和感がある」と結論付けられてしまったがために、せっかく準備してきた自己PRを聞いてもらえない=聞く耳を持って貰えない……ということが往々にしてあるのです。
自己中の面接だからこそ、基本的な「挨拶」は武器になる
面接でいつも緊張してしまって……と相談を受ける際、皆さんにお伝えしていることがあります。
それは、入室する際の最初の挨拶で「口角をあげ、おなかからの声を出すことを意識して、普段の1.5倍くらい大きな声で挨拶をしましょう!」ということです。
大きな声を出すと、体の自然な反応として肩の余分な力が抜ける効果があります。
小さな声だとどうしても暗い印象になることが避けられません。
第一印象で「暗い」と思わせてしまうことはかなり致命的。挽回するための時間は非常に限られてしまいます。
第一印象の良し悪しは、その後の質問内容にも影響します。
面接官が、『この人ほしいかも』と思えば、採用するための質問になりますし、逆だった場合は落とすための理由を探る質問になってしまうからです。
例えば、異業種からの転職を考えている方の場合。
同じ【志望動機】の確認をするにしても、第一印象が良ければ『異業種からのチャレンジですが、どんなことに挑戦していきたいと考えていますか?』という質問になりますし、そうでなければ『異業種なのに、どうしてうちを志望したのですか?』となるわけです。
このように、第一印象を覆すことはほぼ不可能に近いと思っていただいたほうが良いでしょう。
第一印象を作ることに失敗した事例
第一印象がとても大切なことは、このコラムでもお伝えしていますが、その最たる例として渋谷に拠点を構えるインターネット広告とブログ運営のベンチャー企業での出来事をお話ししましょう。
書類選考上も高評価だったエンジニアが二次面接にいきました。転職者本人の意欲も高く、とても期待していたのですが、人事からのフィードバックはかなり辛辣なものでした。
「あんなネクタイで面接に来るようなセンスの人を、我が社に推薦して来るなんて! と面接官が言っています」
独特なネクタイ柄が気になって、自己PRなど耳に入らず、5分で面接が終了してしまったというのです。(※後々きいてみると、キャラクターもののネクタイだったようでした。)
当時からオシャレな社風で有名だった企業です。そういったセンスの違いは致命的だったのかもしれません。
駆け出しのエージェントだった私は、「スキルも評価せずにそんな表層的なところで落とされてしまうなんて!」とショックを受けましたし、事前アドバイスが行き届かなかったためにチャンスを逃すことになってしまった転職者にとても申し訳ない思いでいたたまれなくなりました。
これはかなり強烈な事例かもしれませんが、「中途面接に於いては、かなりの部分で第一印象が結果を左右する」ことの厳しい事実として挙げさせていただきました。
面接官に対しての「違和感」は組織内ではストレスとして変化しやすい
そして、今にして思うのは、あの5分で終わった面接はとても意味のあるものだった、ということです。
「ネクタイの柄」という一見小さな価値観やセンスのズレですが、四六時中一緒に働く仲間としての双方の【違和感】は、往々にして【ストレス】となります。それは、長く接すれば接するほど大きくなっていくものです。
「ネクタイの柄」が面接の合否を分けるような、ある意味尖った繊細なセンスの上司が管理する職場なのです。たとえあの場で見逃されて転職できていたとしても、あのエンジニアは自分と周りのギャップに居心地の悪さを感じ、実力をのびのび発揮することは叶わなかったかもしれません。
もし、このコラムをお読みの皆さんの中に、「転職したい企業」が明確にある方がいるとしたら、面接前にその会社のオフィス周辺を歩いてみることをおすすめします。
どんな服装の社員が、どのような表情で通勤しているか。自分がそこに溶け込んで働いている様子が想像できるかどうか。
これはインターネットでどんなに検索しても出てこない、あなただけの「生の情報」です。
今回は、新卒採用と中途採用の違いのうち、「第一印象」にフォーカスしてお話させていただきました。
次回は、「短時間で即戦力であること認めて貰う」そのための「企業研究の仕方のコツ」についてお伝えしていきたいと思います。
キャリアアドバイザーA