3人に1人が被害者?キャリアアドバイザーと考える「パワハラの乗り越え方」前編



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おはようございます。キャリアアドバイザーAです。
寒くなってくると、コートやジャケット等着るものも少し重みがあって、どうしても肩が凝りやすくなりませんか? 私は視力が悪いため、余計肩が凝ってしまうので心掛けて休憩時間など、こまめに動くようにしています。朝も30分かけて少し早足で最寄り駅まで歩いていくようにしたら、夜の寝つきもよくなってきました。寒いからと縮こまらずに、積極的に動いてみましょう! おすすめです。

職場の「パワハラ」の乗り越え方

さて、今日のテーマは、「職場のパワハラの乗り越え方」です。転職しようと考えるきっかけはひとそれぞれ、様々ですが、表向き「キャリアアップしたいので…」と仰っている転職者の話をよくお聞きしてみると、実はパワハラに悩んでそこから逃れたい! という方は多いように思います。今、この問題に直面し、悩んでいるあなたと一緒に考えたいと思います。

パワーハラスメントの防止策を義務づける法律

職場でのパワーハラスメントの防止策に取り組むことを企業に初めて義務づける法律ができたのはご存知でしょうか? 厚生労働省の審議会は、大企業は2020年6月から、中小企業は2022年度から対策を義務づける方針を示しています。これらの施行前に、厚労省はパワハラの定義や対策を示した指針を2019年内に策定することを目指していますが、労使の意見が対立し、取りまとめのめどは立っていないそうです。
それほど、「パワハラ」は立場の違いによって解釈が変わってきてしまう、ややこしい問題だということです。

厚労省の指針案では、パワハラは
・優越的な関係を背景とした言動で
・業務上必要かつ相当な範囲を超え
・労働者の就業環境が害されるもの、と定義しています。

厚労省の指針については、経営者サイドは、パワハラと業務上の指導との線引きは難しく、人材育成やスムーズな事業運営を妨げる恐れがあるとして、明らかにパワハラに該当するケースのみ記載するべきだと主張。
一方、労働者は、パワハラかどうかを判断する際に、労働者がどう感じたのかといった主観に配慮することや、社員に対してだけでなく、フリーランスや就活動中の学生などへのパワハラについても対策が必要だなどと主張していて、結論が出ていないのです。

パワハラ6類型について

パワハラに当たる行為としては、厚生労働省は以下6種類を定義しています。

身体的な攻撃

殴る蹴る等の身体的暴力や、机を叩いたりゴミ箱を蹴ったりの威嚇行為も含みます。

精神的な攻撃

大勢の前で罵る、「使えない」「給料泥棒」等の人格否定の暴言等

人間関係からの切り離し

席を隔離する、無視する、飲み会に意識的に誘わない等

過大な要求

到底処理できない量の作業を与える行為等

過小な要求

能力に見合わない単純作業ばかり与える、または仕事を与えない等

個の侵害

必要以上にプライベートに立ち入る行為等

働く人の3人に1人がパワハラ被害者?

国の調査によると、パワハラ被害を受けたと感じている人が働く人の3人に1人にのぼっているそうです。全国の労働局に寄せられる「パワハラ」相談件数はどんどん増えており、昨年度は8万2797件と過去最多となりました。相談している人は氷山の一角でしょう。

厚生労働省はまた、事業主の責務として、パワハラへの対応方針を明確にして周知・啓発することや相談が寄せられた場合に適切に対応するための体制を整備することとしていますが、これに対応できている事業所がどれだけあることか、心許ないものです。

「パワハラと指導との線引きが難しい」これが最大の課題

業務上必要な指導が、受け手の感じ取り方によってパワハラに感じられてしまうことがあります。ここが一番難しいところです。

知人の社労士にきいてみたところ、
「パワハラ」は業務上、必要のない嫌がらせなどで精神的なダメージを与え職場環境を悪化させるもの。
「指導」はミスの再発防止や教育など業務上の目的があり、相手の成長を促すものと定義してみては? と提案されました。

この話から、思い出すお話があります。
新入社員として仕事をはじめて3か月が過ぎた頃、Aさんは急に先輩社員に会議室に呼び出されました。
会議室に入ると、中にはずらりと女性社員が4人。口々に

「あんたは細かいミスが多すぎる。」
「Aがミスすると、【やっぱり女はダメ】だと言われるんだからしっかりしてよ」
「私たちがコツコツ積み上げてきた評価が崩されてしまって迷惑」
「学生気分が抜けてないんじゃない?」

この会社では、それまで女性を主担当にする企業文化がなく、男性のアシスタント業務を女性が行う慣例があったのですが、Aさんがはじめて総合職として採用され、新人から主担当として育成しようと試みていました。先輩社員たちは、自分たちが何年働いても任せて貰えなかった仕事を新入社員に任せるとは、どんなしっかりした女性社員が入社してくるのかと思っていたところに、大卒ほやほやのぼんやりした社員が入社してきて、ミスを連発していることにイライラが爆発したのでしょう。

先輩方からの叱責にかなりのショックを受けたAさんでしたが、こう考えました。

「集団で注意されたのはショックだけど、陰でコソコソ言われるよりはマシだな」
「先輩たちに認めてもらえるようにするにはどうしたらいいか」
「注意されなくなったら、終わり」

もし、ここでこう考えてしまったら、Aさんは恐らく仕事を辞めようと思い詰めたかもしれません。

「みんなに私は使えないヤツだと思われているのかも」
「あんなに先輩たちを怒らせて、もうみんなに嫌われてしまっているに違いない」
「仕事は一生懸命やっているけど…私は向いていないのかも」

受け取り方=認知が変わると、状況が変わります。
「結論の飛躍」(客観的な根拠がないにもかかわらず“先輩社員みんなにに嫌われた”のように著しく悲観的な結論を出す)という思考パターンの人は、ともすると「指導」を「パワハラ」と受け取る傾向が強いかもしれません。

うつ病治療などに使われる代表的な心理療法に【認知行動療法】があります。認知行動療法では、出来事に対して“ゆがんだ認知”をしてしまう人が、客観的な事実に即した捉え方やものの見方(=適応的認知という)ができるようになることを目指すのです。
もし、今「パワハラ」に悩んでいる方がいたら、この話を少しだけ思い出してください。

効果的なのは、専門的な第三者に話を聞いてもらうこと

効果的なことは、専門的な第三者に話を聞いてもらうことです。
その際は、以下の3点を整理しておくことが大切です。

【1】「なぜパワハラと感じたのか?」…客観的な事実と乖離(かいり)がないか、誤解が生じていないかどうか整理する
【2】メールなどで記録として残しておくこと…その場合でも客観的な事実に基づいたことしか書かない
【3】「個人的感情」はいったん脇に置いておく

何故、「指導」を「パワハラ」と捉えていないか敢えて読者の皆様に問いかけているかというと、今の「パワハラ」から逃れたとしても、次の職場にも別の「パワハラ」が存在している可能性があるからです。
Aさんのように、少しだけ図太く・鈍感力で目線を変えてみても良いかもしれませんよ。

その後、Aさんはどうなったかと言いますと、結局10年間その会社で勤務し、先輩が退職する際に「あんたぼうっとしてたけど意外と根性あったね。この会社を辞めても、これからも、一生【働くこと】は辞めないでよね!」と言われたとのことです。

もちろん、客観的にみても「すぐその場を離れたほうがいい」パワハラは残念ながら存在します。自分の置かれている環境がどちらに当てはまるのか、専門家に話を聞いてもらうことはとても有意義です。ぜひ検討してみてくださいね。

それでは、またお会いしましょう!
キャリアアドバイザーA