女性の活躍が進んでいる今ですが、まだまだ数多くの社会課題があります。その背景にあるのがライフステージの変化。柔軟な働き方が選べず「仕事と妊活の両立の難しさ」を痛感している方も多くいます。
不妊の可能性に悩み、検査や治療に取り組んでいるカップルは6組に1組いる(日本産科婦人科学会アートデータブックより)というデータもあるほどなのに、働きながらの妊活や不妊治療が難しく、会社を辞めるしかない……と追い詰められてしまう女性もいるのが実情なのです。
子どもをもつために、キャリアを諦めなければならない女性を減らそうと、この課題に立ち向かっているのが『ファミワンキャリア』です。西岡さんが代表看護師を務めている『ファミワンキャリア』では、「妊活・不妊治療と仕事の両立」をはじめとする妊娠・出産・子育て期に関わる働き方をサポートしています。
今回の【仕事と妊活】連載では、「働きながらの妊活が難しい理由」と、そこから見えてくる「理想の職場環境」について考えてみたいと思います。
西岡有可(にしおか ゆか)
株式会社ファミワン 代表看護師
不妊症看護認定看護師
看護学修士
大学院にて「不妊治療を受ける女性の思いとかかわり」の研究に取り組みつつ、国立成育医療研究センター生殖医療外来にて勤務。その後、生殖医療専門クリニックにて10年勤務。第16回生殖看護学会優秀賞受賞。某IT企業「妊活コンシェルジュ」として企業内妊活相談担当。ファミワンのアドバイザーとして、LINEサービス「famione」のアドバイスを担当。フジテレビドラマ「隣の家族は青く見える」医療監修、企業・ホテルにて社員様向け、ご夫婦様向けに妊活に関するセミナーを担当。
働く女子にとっての「理想の職場環境」とは?
妊活・不妊治療を理由に退職する女性が多い理由は?
不妊治療の受診は生理を基準としているので、受診日が急に決まる(2日前や前日)ことが多く、休みの申請をすることが難しかったり、人気のクリニックによっては待ち時間が長いため、仕事の調整が大変で悩む方が多いです。
また、不妊治療をしていることを職場に伝えたくないため、これ以上休みを取ることが難しい方もいれば、治療にとってベストな日に休むことができないジレンマがあるなど、会社の融通が利かずこれ以上会社に迷惑を掛けられないと判断して相談に来られます。
ファミワンキャリアでは、正社員・業務委託(フリーランス)・スポット案件・ボランティア(プロボノ)と、多様な働き方を提案していますが、それぞれのメリットを教えてください。
正社員:有給休暇、産後の育児休業、会社独自の福利厚生など、妊活、出産と両立できる制度がある(取得においては在籍期間の規定があるので注意)。収入が安定する。
フリーランス:場所や時間にとらわれず自由に働くことができ、妊活と両立するためのスケジュール調整がしやすい。会社をまたいで興味のある仕事にチャレンジしやすい。
スポット案件:短期就業なので、妊活の状況に合わせてタイミングよく仕事をセーブできる/副業や兼業としても参加しやすく、繁忙期以外の時間のある期間を有効に使ってスキルを上げたい場合にもおすすめ。
ボランティア:離職中であっても、妊活を優先しながら次のキャリアにつながる実績がつくれる。気兼ねなくさまざまな仕事内容にチャレンジしやすいので、これまで知らなかった自分の一面(得意分野など)を見つけやすい。
フレックス制度や在宅勤務制度を取り入れていたり、職場にワーキングマザーが多い、女性が代表を務めていたりする企業さまだと比較的理解が得やすいかもしれません。また、ベンチャー・スタートアップ界隈だと業務委託やスポット案件、ボランティアを募集している企業さまも多いです。
治療中は突然の休暇を取ったり、仕事の調整をしたりしなければいけないことも多いもの。ただし妊活中であっても、限られた時間の中で成果を出すことを意識しながら仕事に向き合いましょう。そうして、職場の仲間との信頼関係を築いていくことも大切です。
企業で妊活をサポートする制度にはどのようなものがあるのでしょうか?
◾️休暇補助/費用補助
これまでは通常の有給休暇を駆使して、なんとか不妊治療を受けてきたという人が多く、繰り返しになりますが突発的に休暇を取ることが多い妊活では通常の休暇制度では対応しにくい部分があります。そのため、不妊治療を目的とした休暇制度や、金銭面の負担の大きい不妊治療を補助してくれる制度を導入している会社もあります。ただ、上司の承認が必要な場合がほとんどであり、、不妊治療をしていることをカミングアウトしたくないと思う女性にとってはハードルが高いのが弱点とも言えます。
◾️妊活相談(対面、オンライン)
妊活・不妊治療中の女性以外にもそろそろ子どもを……と考えている女性も悩みは多いもの。ですが、相談したくてもどこに相談すればいいかわからないという声もよく耳にします。そのため妊活コンシェルジュによる訪問やオンラインでの窓口をファミワン(外部)に依頼するケースも増えている状況です。
◾️妊活セミナー
当事者以外にも理解を深める必要があります。妊活・不妊治療は以前と比べて一般的になってきたものの、個人の価値観が大きく関わる事柄です。周囲が軽くとらえていると、ハラスメントになる恐れも……。そのため、管理職向けにセミナーを開催する企業も増えています。
男性が多い会社では、どのように妊活を理解してもらうのが正解だと思いますか?
不妊の原因の半分は男性要因であることや、年齢が上がるにつれ精子が減って来ていること、妊活は女性だけの問題ではなく、2人の問題であり、当事者意識を持ってもらう必要があります。しかし男性は妊活の知識を持っている人が非常に少ないため、男性が多い職場だと理解を得ることは非常に難しいものです。
そこで「自分の部下が妊活に悩んでいて、休暇申請して来たらどうする?」などをテーマに管理職者セミナーとして導入することで、「妊活のする人の周りにいる人」としての当事者意識を持ってもらうこともできます。そういったセミナーなどについては、ファミワンのような外部の力に頼ることが有効的だと思います。
多様な働き方をつなぐ「ファミワンキャリア」
仕事と妊活の両立が難しく不妊退職をした場合、退職によるキャリアブランクが発生することに加え、治療のことを考える時間が増え、精神的な負担が増したという声もあります。妊娠、出産、育児と進んだ女性も同様の悩みを抱えており、自分の思い描くライフスタイルとキャリアの両立に苦労しています。
「ファミワンキャリア」は、”正社員・業務委託(フリーランス)・スポット案件・ボランティア(プロボノ)”という働き方の提案を行い「妊活・不妊治療と仕事の両立」をはじめとする妊娠・出産・子育て期に関わる働き方をサポートします。女性が自分らしく輝ける、多様性のあるキャリア形成の手助けをしてくれるサービスです。【https://bit.ly/3g3Znl5】