人生、山あり谷有り。
仕事・プライベートともに、うまくいくこと、そしてうまくいかないことが多々やってきますよね。あなたの場合はその山と谷をどう乗り越えているのでしょうか?
筆者が大切だと思うのは、その時々の考え方と、人との接し方です。あなたがこれまでの人生を振り返ってみたとき、いつの間にか、目先のことばかりに意識が奪われ、周りが何も見えなくなっていたことはありませんでしたか?
物事がうまくいっている時は、気持ちが大きくなり、自信過剰になりがち。気づかないうちに人を不快にするような発言を繰り返したり、自分本位で物事を進めようとしてしまっか。
その逆で、うまくいっていない時は、他人に嫉妬したり、自分の頑張りを認めてくれない会社や上司をうざったく思ったり、愚痴を友人や彼氏にぶちまけてしまうようなことだってあるでしょう。
信頼残高という考え方
あなたは『信頼残高』という言葉を知っていますか?
『信頼残高』とは、故スティーブン・R・コヴィーの名著『7つの習慣 成功には原則があった!』の中にある一部の章から、引用したものです。銀行の場合、口座にお金の預け入れが増えれば、残高はプラスになり、引き出しをすればマイナスになります。
人間関係を銀行口座に置き換える考え方が、『信頼残高』です。つまり「相手との信頼関係」においても「預け入れ」や「引き出し」があるということ。
コヴィー氏の『7つの習慣』では、この「人間関係における信頼の度合い」を『信頼残高』と呼んでいます。
信頼を引き出すことは簡単だが、その逆はとても難しい
「信頼を引き出す」ことは、とても簡単です。それは、あなたの信頼口座から目には見えない「信頼」の引き落としをするといった行為。
一方、「信頼の預け入れ」とは、口座に信頼を貯金するということです。
「信頼を預け入れる」ことは、「信頼を引き出す」ことよりもはるかに難しいのです。お金に例えるとわかりやすいですよね。例えば、好きな服や靴を買う、雰囲気のいいレストランで食事をするなど、日々の生活で、お金はどんどんなくなっていってしまいます。月末の給料日の前には、少し困ってしまう……なんてこともありますよね。
お金を貯めることって、すぐにできる簡単なことではありません。目標金額までお金を貯めていくためには、日々の積み重ねがとても大切なのです。信頼もそれと同じ。他者に自分を信頼してもらうためには、さまざまな積み重ねがなくてはならないのです。
あなたの信頼残高を確認してみよう!
果たして、あなたの「信頼残高」は、果たしてどのくらい残ってますか?
繰り返しになりますが、銀行の残高と同じで、信頼残高は減らすことは簡単でも貯めることは難しいです。プライベート・仕事に限らず、常に相手に対して期待以上の振る舞いをし、結果を出すということ。それ以下になると、信頼は少しずつ引き落とされていつかは底をついてしまいます。
人は誰でもミスをするし、時には傲慢になり、相手に迷惑をかけることだってあります。だからこそ、信頼残高を増やすために、日々の地道な積み重ねが重要となるのです。少しずつ「預け入れ」をすることで、信頼は徐々に作られていくものなのです。
信頼残高が不足した状態とは?
さて、信頼残高が不足しているとは、どのようなことを指すのでしょうか?
それは、日々の行いや物事に対する考え方や行動に問題がある状態を指します。一見、華やかに見えるその振る舞いの裏には、自分のプライド優先で、相手のことはあまり考えず、自分さえよければいいといった心理が潜んでいるのです。実は、これには本人の自覚すらない場合も。あなたも要注意かもしれません。
下記のような状態になると、信頼が不足していると考えられます。
「自己主張ばかりする」
・自分にメリットのあることにのみ反応する
・自分に都合の悪いことは棚に上げる
「もらうことばかりを考えている」
・自己顕示欲、承認欲求が強すぎる
・「もらった」などの自慢をする
「自分しか信じない」
・自分だけが頑張っているといった意識
・他人を卑下する、馬鹿にする
・他人への協力はしない
・利己主義
「過労気味」
・常に忙しく、疲れている
・リフレッシュする時間がない
・常にイライラしている
さて、あなたはいくつ当てはまりましたか?
このような状態が続くと、信頼残高は減る一方。増やすことは非常に困難な状態となります。これらは、筆者である私も若い時に、まさに経験したこと。仕事漬けで、リラックス、リフレッシュすることもない生活習慣。もちろん人に優しくできるほどの余裕など持ち合わせていませんでした。
このように自分自身が不安定な思考が続くと、いずれどこかで軌道修正が必要な時期が訪れます。
取り返しがつかなくなる前に、何らかの対策は打っておきたいものです。さて、このような悪習慣から脱する方法は果たしてあるのでしょうか?
信頼残高を増やす方法とは?
それは、思考の癖、習慣を改善することです。
■目標を持つこと
■利他主義になること
■ギブ&ギブを心がけること
■謙虚になること
■プライドを捨てること
■すべてに感謝すること
■嫉妬しないこと
これらをすぐに実践するのは、きっと難しいでしょう。頭では理解しても心がついてこない。そんなことだってあるはずです。長年の生活習慣、ましてや考え方の癖を、短期間で変えることなど、すぐにはできません。
けれど、毎日ほんの少しだけでも、自分を変えることに挑戦してみてはいかがでしょう。例えば、過度なプライドは捨てて、自分本位の思考から相手に何かを与えることを考えてみたり。相手を理解しようとすること、気遣いや礼儀を大切にする、約束は守ることなど。考え方を変えることはできるはずです。
ごくわずかなことでも構いません。思考を変える、そして行動を変えて習慣化することです。
まとめ
今回は、コヴィー博士の『7つの習慣』の中から、ほんの一部を紹介しました。この本は「不朽の名著」とも呼ばれている、有名な本です。一生かけて学び、実践すべき素晴らしいことがたくさん書かれていて、気づきを得ることができます。
私たちの人生の羅針盤(コンパス)になりうるくらい、インパクトのある考え方を教えてくれます。
長い人生、人間関係のトラブルは避けて通れないことですよね。であれば、『信頼残高』は多いにこしたことはありません。貯金と同じで、『信頼残高』はすぐには貯まりません。だからこそ、毎日のちょっとした行動の積み重ねが大切なのです。
さて、今のあなたの信頼残高はどれくらいでしょうか?
7つの習慣-成功には原則があった! 単行本 – 1996/12/25
スティーブン・R. コヴィー (著), Stephen R. Covey (原著), ジェームス スキナー (翻訳), 川西 茂 (翻訳)