有給が突然消えた……!? 「そんなバカな!」な有給マジック
これは、友達とオフシーズンにパリに旅行しに行こうと決めた、某企業に勤める入社3年目の沙也加さんのお話。
沙也加さんは、会社に入ってからの3年間は彼氏との時間より仕事の時間を優先し、休日も仕事や自分のスキルアップのためにと勉強時間として費やしていました。そんな彼女も3年経ち、ようやく仕事にも慣れを感じたタイミングで「溜まった有給をしっかりと使って思う存分に遊びたい!」と、2週間の有給の取得を予定していました。
これまで有給を使う機会はほとんどなく、連休を取るのはこれが初めて。
余裕で余っているだろう、と思っていた有給残日数を確認してみたところ、なんと予想してたよりも随分と少なく、なんと想定した日数の半分しか有給が残っていなかったそうなのです。これには思わず沙也加さんもびっくり。
体調不良の際にしか有給は使っていないはずなのに……なぜ半分も有給が消えてしまったのでしょうか?
沙也加さんは知らなかった! <有給の繰り越しは2年間>
沙也加さんの突然消えてしまった有給マジックのヒミツ。ご存知の方もいるかも知れませんが、それは有給の時効により消滅してしまったからです。
有給の使用には実は期限が設けられています。
期間は2年間。それを過ぎてしまうと有給は、自然と消滅してしまいます。
残念ながら会社から与えられた有給休暇……つまり年休をずっと残しておくことはできないのです。さらに、会社によっては「今年度に付与された有給休暇から使用をする」というルールが設けられている場合もあります。
例えば、今年度の有給が10日分だとして3日を取得したとします。そうすると残りは7日です。つまり、繰り越せるのは7日分となり、次の年に11日付与されたとしても、11日+7日で18日となってしまうのです。 昨年分が10日残っていたとしても、その10日間は消えてしまうことに。このルールだと、前年の有給を消化するのはかなり難しいなと感じます。
一定期間在籍していると必ず与えられる「有給休暇」ですが、沙也加さんのように、有給の仕組みを知たずにいると、知らないうちに有給がいつの間にか消滅してしまっている可能性が高いのです。これによって予定に急な変更が生じてしまう場合も。
みなさんの有給はあと何日残っていますか?
すぐに返答できる方は少ないのではないでしょうか。
エクスペディア・ジャパンが発表した調査データによると、日本での有給休暇取得率は、なんと世界でワースト1なのだそうです。どのようにしていけば、有給を使い切ることができるのでしょうか?
有給休暇を取るための年間スケジュールを計画する
社員の「ストレスオフ」に着目を置いている、株式会社メディプラスでは社員の主体性と休息支援、そしてグルーミング(居場所作り)を重視する、社員手帳「ポラリス」というアイテムを活用しています。
これによって、有給日数が残り何日あるのかいつでもチェックできるようになった上、有給をいつ・どのように使うのかというスケジュールを立てる時間も業務時間内に組み込んでいるそう。有給の消化期限がすぐにわかることで、消化率にも大きな変化があったそうで、前もって有給の使い方を計画できることにより有効に休日を使えるようになっています。
また、グループ会社のメディプラス研究所で行われた、全国14万人を対象にしたストレスに関する『ココロの体力測定』調査データでは、有給を取得する理由に体調不良や、市役所に行くというような理由が多く挙がっており、せっかくの休みをストレスオフに使えている人が少ないのだそう。
事前に有給を使った計画を立てることで、仕事の内容も調整しやすくなりますし、早めにチームに共有することもできるので気負いなく休むことが出来ます。
申請しにくい理由のお休みに名前をつけることで消化率がアップ
また、株式会社プログレスでは、社員に有給を率先して取ってもらうために、料金が安い平日に美容院やネイルサロンに行ってもらうために活用する『ビューティー休暇』という休暇や、飲み会の次の日や二日酔いで「体調は悪くないけど、単にちょっと仕事がしんどい、サボりたい……」という日に潔く休むことができる『プチギブアップ休暇』という、ちょっと言いにくいお休みに名前をつけて有給を取ってもらう取り組みに力を入れています。
仮病を使わずとも、気軽に使用ができる制度をつくるという斬新な発想で、有給取得の際の罪悪感を感じずに過ごすことができます。
さらに有給休暇とはまた別に、新しいことに率先して挑戦することができる『ドラゴンボール休暇』といったユニークな制度もあるそう。新しいことに挑戦して今までになかったひらめきや発想を得ることで、仕事に活かすこともできるのだとか。
有給の管理はしっかりと
有給休暇を有意義に過ごすためには、会社の取り組みと個人の取り組みのどちらもが必要になるといえます。
また、働き方改革法により、2019年4月1日から有給休暇の義務化が決まりました。
これは、10日以上の年次有給休暇が付与される全ての労働者に対し、時季を指定して年次有給休暇を取得させなくてはいけないという、仕組みです。
今まで、有給をほとんど利用してこなかった人は、これを機に改めて会社の有給のルールはどんなものなのか、日数はどれだけ残っているのか確認すると良いでしょう。
独自のルールがある会社は特に注意が必要です。
自分が認識していたルールと相違があり「これっておかしくない?」と疑問に思うこともしばしば。ぜひ、気になる部分は聞く、という習慣をつけていきましょう。
「気が付いたら有給が消滅してしまった」なんて悲劇を避け、気持ちよく有給を利用しましょう。時には有意義な休みを取る、そういったご褒美は必要です。