職場でのいじめってどんなものがある?
ハラスメントに対する話題が増えている今ですが、例え「モラハラ」、「パワハラ」、「セクハラ」などの総称に該当せずとも、職場内でいじめを受けた経験がある人も多いはず。
時には退職のきっかけや、ウツの原因にもなってしまうこともある、深刻な大人同士でのいじめ。今回は働く女性も頭を悩まされることの多い、“職場でのいじめ”について考えていきたいと思います。
言葉の暴力
「残業が多く、顔にも疲れが完全に出てしまった私をチラっと見た上司が、辞めたいならいつでも辞めていいからねと言った時には本当に驚きました。さらには、あなたが残業しなくても良いように努力すればいい話なんだからと続けられて自己嫌悪に……。周囲の人に相談したところ、私が悪いわけではないと思い直し、その後退職を決意しました(メーカー勤務/27歳)」
陰口を言う/無視する
「あの子は水商売をやっていたから営業がうまいんだ、と同僚に嘘を言いふらされていた」(29歳/営業)
「先輩に質問をしても、いつも私だけ無視をされます」(24歳/アパレル)
ミスを人に押し付ける
「まだ私が入社してそれほど経っておらず、先輩と一緒にプロジェクトを進めていた時のことです。先輩は指示出しだけでほとんど何かを教えるということもなく、手伝いもしてくれませんでした。もちろん作業が一人で終わるわけもなく、当初予定していたスケジュールより随分と遅れてしまったのですが、クライアントから私たちの対応にクレームが届いた時に、先輩は全て私のせいにして、自分はやることはやっていると上司に報告。正直今も腹が立ったままです。(32歳/広告代理店営業)
暴力
「上司が取引先の偉い方と会食に行くときに、よく同席を命じられるのですが、行くと毎回セクハラとパワハラの嵐。もっと鍛えてやってください、と頭を叩かれたりします(27歳/サービス業)」
セクハラ
「部内での飲み会が定期的にあるのですが、その時にお酒が入った上司が私の太ももや胸を触ってきます。女性社員の中では一部話題にはなっているのですが、被害に遭っているのが今は毎回私だけのため、みんな見て見ぬフリ…。辛いです(25歳/通信系)」
いじめを行う人のほとんどが「上司や同僚」
セクハラ、パワハラなどの肉体的なダメージのほか、精神的に人を追いやる行為、これらが働く女性の頭を悩ませているのです。こういった大人のいじめを行うほとんどが「上司や同僚」。自分より立場が同等以上の方から受けた時にこそ、いじめだと人は認識するのです。
ではこのような大人のいじめを受けた時、私たちはどうするのが正解なのでしょうか?
いじめを受けたときの対処法
上司に報告する
同僚からのいじめであれば上司へ、上司からいじめを受けているようであれば、さらに上の上司に相談してみましょう。いじめの原因がわかれば、解決のために対処をしてくれる可能性が高いからです。会社には「職場環境配慮義務」というものがあり、社員が安全に働くことのできるように配慮する義務があります。
これによって人事異動、またはいじめに加担している人が処分されることもあります。また、社内の人事担当者など、窓口に申告するのも有効です。
部署移動願いを出す
会社内での移動が可能な場合は社内移動を希望するのもテです。新しい環境で人間関係を再構築しましょう。
けれど、小さな会社で、異動ができない場合や、すでに噂が広まっていて、異動した先での人間関係にも不安がある方は他の方法をとった方が良いかもしれません。
法的対応をとる
いじめや嫌がらせの事実が確認できる証拠、被害が確認できる証拠などがある場合は、労働局・労働組合に相談することや、弁護士に相談することも検討しましょう。被害にあっている時に、メール文面、音声の録音、動画撮影、詳細な日時と出来事が書かれたメモ、病院にかかった診断書など、いじめの証拠はなるべくたくさんとっておくべきです。
会社全体に改善を働きかけてくれたり、法律にのっとった具体的なアドバイスがもらえるようになります。
休職する
会社の休職制度を利用して長期の休暇をとることもできます。うつ病や、適応障害などに近い症状の自覚があるなら、精神科や心療内科など、専門のクリニックを受診することです。会社に診断書を提出して、休暇をもらえるように話しましょう。
また休職を伝える前に就業規則をチェックしておくことも大切です。休業はあくまで会社が設けたものであり、法的な雇用保障ではありません。給与面でも、手当が支給される会社もあれば、無休な会社もあります。加入している健康保険に「傷病手当金」を申請することも覚えておきましょう。
退職する
ひどいいじめに耐えられない場合は退職を視野に入れても良いでしょう。退職願いを提出して上司と話し、退職日を決定します。いじめを口外せず進める場合は、退職日を決定後に、引き継ぎと有休消化に入ります。
退職手続きを進めるにあたって、会社から離職票を受け取りましょう。またその際に「会社都合」になっているか、「自己都合」になっているかの確認を。会社でいじめが確認される証拠がある場合は、「会社都合退職」扱いにして、失業保険を有利に受け取れるように進めていった方が良いでしょう(ハローワークに証拠を提出する必要があります)。これによって失業保険の優遇の内容や条件が変わってきます。
いじめに悩む人は多い
子どもに限らず、大人の間にもいじめは変わらずあるものです。耐えられる範囲だとして耐えるのか、それとも離れる決断をするのか……それはあなた次第。いじめに立ち向かうには勇気や体力が必要です。働く上で、自分が納得できる環境を確保するためにも、知恵を味方につけて冷静に対処していきましょう。