別れた方が良いけど別れられない…そこには当人の「心の闇」が
モラハラ気質のある彼の言動でよく傷ついている。
何度も浮気をされているのに、つい許してしまう。
DV男っぽいところがある…。
付き合った彼がロクでなしで、周囲の友達からも「別れた方が良いよ」「もっと良い人と付き合えばいいのに!」と言われているのに、なかなか別れられない…。そんな女性も多いのではないでしょうか? 別れたいのに別れられない、そこにはこんな心理が隠れているかもしれません。
どうして大切な人を傷つける? 加害者の分類
警視庁の調べによると、去年の「DV」に関する相談件数は一昨年に比べ6.7%現象。相談件数は8435件となり、年々件数は減ってはいますが、まだまだ数が多いのが現状です。在宅ワークになったり、コロナの影響を受けて収入が減ってしまった人がいることを考えると、今後さらに家庭内トラブルが起こる可能性はあります。
では、なぜ人は、DVをしてしまうのでしょうか? まずは加害者の分類から見ていきましょう。
男尊女子型
「男は女よりも偉い」と思っている、男尊女卑思想が強いタイプです。
暴力や乱暴で恐怖を植え付けることで、女性を支配しようとする傾向があります。さらに「レイプ神話」を信じている男性が多いこともわかっています。
レイプ神話とは、「女性の中にもレイプをされたがっている人がいる」、「女性が薄着でいるのは男性を誘惑するためである」というような間違った解釈です。このタイプの男性は、男性同士で密接な人間関係を築いていることが多いのも特徴です。男友達で意見交換をしながら、同調を強めて自分を正当化しようとします。
ストレス発散型
「ストレス発散型」タイプの方もいます。
文字通り、日頃のストレスやイライラを女性にぶつけることが多々ある人です。このタイプの人は、上司や同僚に対してストレスが溜まってもそれを相手にぶつけることはありません。そのストレスを溜めて、自分と親しい彼女や奥さんに当てる傾向があります。
そのため、周りからは暴力的な人と見られないことかも多く、表向きは「優しい人」や「いい人」と思われていることさえあります。
監視型
3つ目は「監視型」タイプです。
このタイプの人は、相手の行動を常に監視したり、コントロールしたがるのが特徴でパートナーに強い欲求を持っています。プライドが高くて、周りから見捨てられたり、低く見られたりすることに恐怖や不安を持っていることが多いです。
それはもちろん恋人に対しても同様で「いつか自分のことを見捨てるのではないか」「本当は自分のことをバカにしているのではないか」という恐怖感と不安感を持っています。そのため、恋人の行動を監視したり、自分から離れていかないように脅迫したり、相手の弱みを握って脅したりすることもあります。
不安型
最後に「不安型」です。安定した人間関係を築いていくのが苦手な人たちです。このタイプは、自分の思い通りにならないと激怒したり、激しい暴力を振るうこともあります。言葉で表現ができないため、態度や行動で相手に示すという特徴を持っています。これは、男性よりも女性に多いタイプでもあります。
「別れればいいのに」「付き合っていても幸せになれない」そうは言われても…被害者の心理
DV男や浮気男と付き合ってることを知った友人からは「そんな人ならさっさと別れればいいのに」と言われます。
しかし、実際にはそのような相手と別れるのはなかなか難しいのが現状です。
相手から「別れたらひどい目に遭わせる」や「殺す」「死ぬ」などとの強い表現を使って脅しているケースがとても多いためです。相手に対してすでに恐怖を持っていれば持っているほど、報復が怖くて別れることができません。
しかしながら、このように脅迫をされていなくても別れることができないケースが存在します。その理由は2つ。
「自己洗脳」という現象が起きているケース
一つ目は「自己洗脳」という現象が起きているケース。
自己洗脳とは、文字通り自分で自分を洗脳すること。この場合は、自分の中で問題を解決しようとすることに当たります。自分自身が、被害を受けていることを正当化する考えをしてしまうのです。
例えば、「彼は時々暴力的だけど、優しいところもあるから本当はいい人」、「彼は私のことを考えてくれているからこそ束縛したり怒ったりするんだ。私がもっとしっかりしないと」や「私が受け止めてあげないといけない」などのような考えです。
相手からも「お前のためを思ってやっている」「愛しているからこその行動だ。愛していなければこんなことはしない」などと言われることも少なくなく、これも自己に拍車を掛ける要因になっています。この状況になると「別れる」という選択肢が頭の中からなくなり、「受け止める」「耐える」ことしか考えられなく状態になることが非常に多いのです。
「虐待サイクル」があるケース
もう一つの「虐待サイクル」というのは、「DVをする人は、常に暴力的というわけではない」ということです。あるときに爆発的に暴力や暴言を吐き出すことがあります。
そして、それが起こった直後には「ハネムーン期」という時期がやってきます。この時期は相手がいつもより優しくなったり、自分が暴力的な一面を持っていることを謝ってきたりします。DVを受けていると、この時期に相手が本当に反省しているのだという考えが先行し、許してしまうというワケ。
しかし実際には、ハネムーン期のあとには「緊張形成期」というものがあるため、またもや爆発的な時期が来てしまうのです。
別れるためには○○のことだけ考える
ひどいことを繰り返し受けていると「別れる」という選択肢が頭の中から無くなってしまうことをお話しました。では、どうすれば別れることができるのでしょうか?
それは「自分の幸せだけを考えること」が非常に重要です。もしみなさんの周りにDVを受けている方がいて、相談されたらこれを伝えてあげてください。
先ほどもお話したように、DVを受けていても別れられない、別れた方が良いと頭では理解できているのに行動に起こせないという人は、相手の悪いところを見ようとせず相手を良く評価してしまう傾向があるのです。
「本当は優しい」「私のことを思ってくれているからこそ」と、相手にとって都合の良い考えを自分に植え付けようとします。しかし、残念ながらこれは幻想です。
暴力を振るう時の心理は「支配したい。言うことを聞かせたい。自分の都合のいいようにコントロールしたい」以外のなにものでもなく、そこに愛情表現はあり得ません。
「私が別れたら彼はダメになってしまう」と彼のことを思う必要はありません。「今暴力で苦しんでいる日々が幸せか」「怯えながら、機嫌を伺いながら生活していることに幸福感を覚えるのか」だけを意識して自分を軸にした考えに脳から改善する必要があります。
つまり「私は今、幸せなのか?」を考えると、自己洗脳も虐待サイクルからも抜け出せるということ。まずは、別れるための脳をつくるための改善が必要なのです。