俺の人脈をアピールするオトコ/#毒女通信



そのオトコは六本木に居た

「良かったら久しぶりに飲みにいかない?」

とある外資系保険会社で働いている男から急に連絡がきた。わりとお金も持っていて、見た目も悪くない。正直、付き合えるか付き合えないかと聞かれると、結構アリ。なその男。

すぐさまLINEを開いて既読をつける。

返事をどうするか迷ったけれど、数分経ってから「久しぶりだね! もちろん。飲みに行こう!」と無難な返信を送った。もちろん相手からもすぐに既読がついて日程と時間の候補が送られて来る。そして数回のやりとりが続いた後、飲みに行くことになったの場所、それが六本木だった。

聞く姿勢が高評価だった一軒め

六本木にある隠れ家的なお寿司やさんに入って、ビールを頼む。

お酒とは関係なく、久しぶりに会ったこともあって、「最近は何してるの?」を始めに会話は盛り上がった。彼は知り合ったときと変わらず、仕事でそれなりの成績を残しているようだ。仕事のことがなんとなく把握できたら、次はプライベートの話を探ろう。私は、あまり仲良くない人との”疲れない”会話の流れをなんとなく決めていた。

「このお店にはよく来るの?」

大抵プライベートの会話の切り口はこれ。別にこの質問に中身のある回答は求めてない。これからはプライベートの話ですよ、という意味を含んだ軽い合図みたいなもの。

これに対して彼は「先輩に教えてもらってから時々来るんだけど、女の子と来るのは初めてかな。」と答えた。この返答もよくある、いわば定型文。その定型文のあとに「嘘だー。」なんてお世辞をいう暇もなく(私の場合はそんな合いの手も入れないけど)彼は「いつもどこら辺で遊んでるの?」と付け足してきた。

「んー…最近は恵比寿か中目黒が多いかなぁ」

「そうなんだ、おいしいお店多いもんね。女子も好きそう。そういえば前にもココのお店が好きって言ってたよね?(スマホ画面を見せてくる)」

人は自分の話をしているときに楽しさを覚える。
そして、自分が言ったことを相手が覚えてくれているとわかると非常に嬉しくなるものだ。彼はそういったところも熟知しているのか、時々前の会話を含む質問をしてきて、徐々に聞く側の姿勢に回っていた。

“慣れてる。” そう思いながら私も、お酒が回ると同時に彼との会話を自然と楽しんでいた。

お腹もいっぱいになって一息ついたタイミングで

「2軒目、いく?」とその男が聞いてきた。

時間もまだ22時前。軽くならいいか、と二つ返事でOKする。

「知り合いがお店をやってるんだ」と男も次のお店を決めているようだった。

場所が変わると見え方も変わる

知り合いがやっているというバーについてから、またまたお酒を頼む。ヴィンテージな雰囲気で、ちょうどよいオシャレさがある空間だった。雰囲気に飲まれることはしない。2軒目ではカクテルなどの軽いものしか飲まないのが私のルール。

『知り合いがやっているお店』というだけに、そこに立っているバーテンダーはもちろん彼の知り合いで、きっちりとした服装で髪も綺麗にまとめられていた。彼は、にこやかに頼んだドリンクを出しながら「この時間に女の子と2人って珍しいね」とありがちなクッション言葉を言ってくれる。

「最近、〇〇さん来てた?」

「一昨日も来てたよ、思いっきりシャンパン空けて帰っていった」

彼とバーテンダーの会話は共通の知り合いについてだった。数回会話をした後に、

「ここ、知り合い多くてさ」と私に説明する彼。

「ふーん。そうなんだ(派手な集団なんだろうな・・・)」

とニコニコしていると、お店のドアが開いてお客さんが入ってきた。

「おー、久しぶりじゃん」

バーテンダーが声を出すより先に、声を出したのは隣に座る彼だった。どうやらお店に入ってきたお客さんも知り合いらしい。雰囲気の柔らかい男性で、一人。もちろんすぐに私たちの隣に座り、3人+バーテンダーでの会話が始まる。物腰の柔らかく、すごく良い人だった。私の人見知りしない性格もあってか、会話はすごく盛り上がったし、気持ちの良い気分のまま、家の近くまで彼に送ってもらって0時を過ぎには眠りについた。

楽しいけど、結果的にナシ

結果的に満足度の高い食事とお酒で、彼の人となりもわかった。
とはいえ、私がこの人を好きになることはない。なぜなら、【自分の話より自分の人脈をアピールするオトコ】に見えたからだ。いくら前から知り合いであるとしても、えらい人であったとしても、わざわざ知り合いに私を紹介する意味がまずわからないし、友達の多い俺を私に対してアピールしたところで何も魅力は感じないからだ。

聞き役に回る、は好感度としては非常に高かったけれど、それ以外の彼についての情報はあまり入ってこなかった。むしろ彼の友達や知り合いが、どんな人なのかがよく見えたくらい。
「あいつ、いいヤツでさ」という言葉を添えて自分の好感度もさらりと上げているつもりなのかもしれないけれど、正直その言葉を聞いたところで女の子の感情は動かない(だってそれが私にとって別に何もプラスになることがないから)。

あれから数ヶ月経つけれど、彼からの連絡にはテキトーにしか返信していない。まぁ、また暇ができて、タイミングが合う時なら行ってもいいかな…。くらいのところで正直終わり。

“俺の”テリトリーでない六本木以外の地区に行くと、果たして会話はあるのか…?

人脈のアピールをするオトコというのは、結果的に自分に自信がない人が多いように感じる。そして、人を一種のブランドとしてみている節もある。彼にとって私は”連れ歩きたいようなイイ女”に映ったのだろうか。

ちょっとイイな、と思う人が、こんな人だった場合には2人きりの時の会話によく耳を澄ませてみて。彼の周りには、私と同じくして、「なんかちょっと残念?」と思っている女性が多いのではなかろうか。