フリーランスが身につけておきたい“社会人としてのベース”と“会社員に戻れる素地”



Cinq読者の皆さま、おはようございます。キャリアアドバイザーAです。

先週から「特定組織に所属せず、独立しフリーランスとして働く」ことについて考察しています。

前回のテーマは【「フリーランスになる」その前に知っておきたいこと】でした。せっかくフリーランスになっても、また会社員に戻りたいと考える人がとても多いことと、書類選考のハードルが極めて高くなることについて、代表的な理由を挙げてお伝えしました。
今回は、「それでも、フリーランスという働き方を選択するために気を付けたいこと」として考えていきたいと思います。

フリーランスという働き方を選択するために気を付けたいこと

不要な不安を抱えずに、自分の得意な仕事で独立し、フリーランスとなって活躍するために必要なこと、それは、結論から先に言ってしまいますが、「フリーランスにもなれるし、会社員にもなれるような、社会人としてのベースをきちんと確立しておくこと」ではないかと思います。

レアケースですが、フリーランスになっても会社員に戻れる方は確かにいらっしゃいました。私が見聞きしたケースでは、人材紹介会社経由ではなく、ご自身の人脈でお声がかかっているということもありました。そういった方たちの共通点として、フリーランス期間が長くても、会社員に戻れる素地を残していて、会社員としての考え方や立ち居振る舞いができる、バランス感覚のある方だったように思います。

フリーランスになる前に身につけておきたい「社会人としてのベース」と「会社員に戻れる素地」

「社会人としてのベース」「会社員に戻れる素地」とはどのようなものでしょうか。

仕事の基礎体力(ビジネスマナーとポータブルスキル)

ビジネスマナー&ポータブルスキルを磨いておく。
以前、このコラムでも「ポータブルスキル」についてお伝えしました。一言でいうと「組織・業種や職種を問わず、会社を超えて通用する汎用性のあるスキル、持ち運びできるスキル」のことです。

ポータブルスキルに加え、基礎的なビジネスマナーを身に着けておくことが非常に重要です。学生時代の延長のような、マナーに欠ける振る舞いを「フリーランス的自由な雰囲気をまとっている」と勘違いしている方も時々お見受けしますが、これでは継続して仕事を発注してもらうための【信用】を得ることはできないでしょう。
その場にふさわしい挨拶ができない、服装や身だしなみがきちんとしていないことを、「会社員という“型にはまらない自分”」などと思ったりしていないでしょうか? 勤怠、服装、挨拶、言葉遣い、相談や報告など、新卒入社時やOJTなどで教えて貰ったことをしっかり身に着けておくことは、やはり社会人としての基礎中の基礎です。
さらに、正しい言葉遣いができること、分かり易く説明する能力、的確に質問し、きちんと回答できること、平易な言葉でわかりやすい文章が書けることなど、どんな業界のどのような人とも仕事ができる素地を、20代のうちに作っておくことが重要です。

例えれば、どんなに運動神経が優れていても、自転車に乗るコツをつかんでいなければ、最初はみんな自転車に乗れないことと同じ。そして、一度乗れるようになれば、何年も自転車に乗ることがなかったとしても、いざ乗る時には案外スーッと乗れるのと似ています。
フリーランスになれば、仕事のやり方は誰も教えてくれません。ビジネスの基礎体力は若い時期にきちんと身につける努力をしましょう。20代の頑張りが、あなたの30代を支えてくれます。

担当できる仕事の領域を拡げることを常に意識すること

多少自分の希望に合わない仕事や、我慢が必要な仕事、面倒だと思われる仕事を断っていないでしょうか。「せっかくフリーランスになったのになぜそんなことを…」と思われるかもしれませんが、こういった「ちょっとした我慢」をしない・背伸びをしない・自分に負荷を掛けない・自分の得意なことだけに固執した仕事の仕方をし続けると、【会社員の感覚】からのズレがどんどん大きくなっていってしまいます。
30代以降、自分の得意な仕事の領域を固定して、どんどんそのスキルを尖らせていく。という戦略が通用していた時期もありましたが、今は何といっても「人生100年時代」。70歳まで現役で働かなければいけない社会構造に否応なく組み込まれている私たちです。
「自分の得意領域」は、1つではなく複数持つように意識していく必要があります。特にフリーランスとして長く活躍していくためには、常に「新しい領域に取り組む」ことを意識していきましょう。
会社に所属しているときのように、組織が先回りして教育してくれる機会はないのです。
意識して自分で自分に磨きをかけていかなければなりません。そしてそれは、とても忍耐力の要る作業だと思います。

仕事をする「場」を選ぶこと

ビジネスで使う「自己紹介」の文章を書いてみたことはありますか?
また、フリーランスの方の自己紹介文を読んだことがありますか?

「人材輩出企業のR社出身」「元A社でコンサルタントとして活動」等という肩書で仕事をしているフリーランサーはとても多いです。要は、「あぁ、あの会社出身の人なんだ(ならば、●●には詳しいんだろうな、仕事を任せられそうだ)」と思われるような会社で働いた経験というものは、否応なく一生ついてまわる。ということです。
もし、将来フリーランスとして活躍したいと思っている意欲的な学生さんがこのコラムをお読みになっているとしたら、新卒入社の際には「人材教育に熱心な会社」「高いビジネススキルが磨ける会社」と言われる会社に就職してみることをお勧めします。また、将来独立したいと強く思っている社会人の方がこのコラムをお読みになっているとしたら、「あぁ、あの会社にいたのね、優秀なんだ」と一目置かれるような組織に一度は所属し、仕事をしてみることを強くお勧めしておきたいと思います。

CMで馴染みのある企業の商品と、まったく聞いたことがない企業の商品を比べたときに、知っている企業の商品に手が伸びる。ということはありませんか?それと一緒です。
自己紹介で「●●社出身」と書けることが、フリーランスとしての仕事に有利に働く局面はたくさんあります。

「フリーランスとして本当に実力があれば、過去は関係ないだろう」と思われる方も多いと思いますが、その人に実力があるかどうかは一緒に仕事をしてみなければわかりません。興味を持ってもらうきっかけとして、「過去に所属していた会社の名前」は想像以上に雄弁です。なんといっても、その企業に入れるだけの実力を身に着けていた。ということが過去の所属企業名で推察できるのですから。
観劇するときに、たとえその俳優をあなたが知らなかったとしても、「劇団四季出身」「宝塚出身」と書いてあれば、「歌やダンスの基礎は叩き込まれている俳優さんかな」「きれいな女優さんなんだろうな」と一定の期待を持って観られることと同じことだと思います。

では、またお目にかかりましょう!
キャリアアドバイザーA